鉄路の交響詩 ~第2章~

Eisenbahnsinfonie

信仰の地を越えて ALEX


2016.8.4 ドイツ鉄道970号線  ビーセンホーフェン ~ギュンツァハ ALX84134(ミュンヘン発オーバーストドルフf行き快速ALEX)
ALX84134 von München Hbf. nach Oberstdorf. D-LOK: 223 061 auf KBS970 bei Göwangs (zwischen Biessenhofen und Günzach) am 04.08.2016.

 キリスト教の信仰深いドイツ アルゴイの地。

 牧草地帯を見下ろす丘に小さな教会が佇む。

 その傍らの鉄路を颯爽と翔けていく。


(つづいて少し離れたこの場所へ。この後のスケジュールの制約とこの列車の光線状態が良くないことからついで撮りでお手軽に済ませることに。遠くに見えるのは、旅行3日目にパイプオルガンとバイオリンの演奏を聴いた会場であるアルバン教会St. Alban。ドイツではどこの街でも教会がシンボル的存在でそれを絡めた鉄道写真も可能ですが、ここまで教会オンリーの背景で撮れるのはなかなか希少です。演奏会とともにいい思い出の一枚となりました。)


日本の国鉄が分割民営化されて30年を迎えました。
最近、撮影地でよく「貨物しか撮るものがなくなった」と嘆きの声を耳にします。鉄道発祥時からの方式である機関車牽引列車は電車や気動車に比べて主題が明確で迫力も魅力もある存在ですが、もはや日本では貨物列車にしか見られなくなりました。
国鉄時代には当然のように走っていた長距離列車の消滅、夜行列車も1往復を残すのみ、ヨーロッパ旅行しても十分お釣りがくるくらいの高額で庶民の感覚とはかけ離れた豪華ツアー列車の運転開始、地方ローカル線の廃線、重厚な国鉄型車両とは対照的な軽薄な車両の投入など、こと旅客部門においては全く旅情も魅力もない鉄道となってしまいました。貨物の輸送ネットワークは維持され新型機関車も重厚さを引き継いでいることだけが唯一の救いです。これは何も鉄道に限ったことではなく、日本の社会構造についても同様、24時間営業の店があふれヨーロッパではどこも休業になっている日曜日でもセール開催、過剰なサービスで休むことなく働き続ける、便利さは世界一ですが豊かさは全く実感できません。自分も日本しか知らないときはこれが当たり前と思っていましたが、20年ほど前に初めて渡独して以来、個を押し殺して全速で回り続けている日本の異常さ(これは北東アジアの国々に共通することかもしれませんが)に気づき疑問を呈してきました。労働地獄で考える隙を与えないことで政治的観念を一般人から取り去ることに成功した長期独裁政権だけが持続可能なのは皮肉なことです。全てが時代の流れという一言で片づけて納得してしまう日本人も将軍万歳と信じ込んでいる某国の国民と同じように見えて不憫でなりません。日本に限らず閉鎖的で寛容さが乏しい北東アジア地域独特の民族性なのかもしれませんが、これからの少子高齢化社会に向けて「持続可能」という言葉からとても程遠い状況です。当ブログのLINK先であるドイツ在住のフリーライター雨宮氏が自分の思いを十二分に代弁してくれているのでこの話はこれくらいにとどめておきます。
話は鉄道に戻りますが、民営化はともかく分割手法は完全な失政と言わざるをえません。事実、採算の取れない地方交通線はヨーロッパで採用されている上下分離方式に回帰する方向で議論されています。
ドイツにおいても昨年12月のダイヤ改正で夜行列車全廃の方針が決定されましたが、オーストリア鉄道が夜行列車の経営権を新たに取得する手法で運行が継続されています。廃止を打ち出した事業に対して別の事業者が意欲的に参画する、これこそ真の民営化であり自由化ではないでしょうか。
震災の直後掲げられた「つなげよう日本」は名ばかりのフレーズ、地域分割のJRが旧国鉄路線の経営を独占する日本の現状では分断されたネットワークは再び戻ることはありません。
今回のドイツ旅行、航空券の手配は前年の9月初め、最後のブルトレ北斗星が終焉したのが契機でした。魅力ある旅客列車が消滅し普段は静かになった線路際もひとたびネタ車と呼ばれるイベント系の客車列車が運行されると警察も出動するほどに撮影者が集中する大激パ、もはや趣味というよりストレスの元凶と化す現状にかねてから嫌気がさしていました。もはや日本の鉄道は「昔はよかった」と過去を懐かしみ振り返ることしかできない状況、たまに過去を顧みるのも大切ですが、いつも回顧ばかりでは老化が進んでしまいます(苦笑)。悲しいかな日本の鉄道趣味は自分にとっては「持続可能」な分野ではなくなってきました。
これもポジティブに捉えて、JRの旅客部門に対する関心の消失が、奇しくも以前傾倒していたドイツへの思いを復活させ、かねてからの夢であったドイツでの鉄道撮影の実現への契機となったことには30周年に寄せて感謝の意を示したいと思います。

スポンサーサイト

テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/04/09(日) 19:56:58|
  2. Deutschland
  3. | Trackback 0
  4. | Comment 2

プロフィール

Nachtzug

Author:Nachtzug
四季を駆ける鉄道の姿を紹介しています。
Nachtzug(ナハトツーク)
=ドイツ語で「夜行列車」
機材:PENTAX K-5Ⅱ


受賞・掲載歴

鉄道ダイヤ情報フォトコンテスト 銅賞受賞

岩佐美咲「無人駅」大ヒット御礼フォトコンテスト入賞

2009/2010/2013/2015/2017年貨物時刻表フォトギャラリー掲載

2014年貨物時刻表カレンダー掲載



Herzlich willkommen!
Kommentar auf Deutsch möglich.
Nur "Name" und "Comment" sind nötig für Kommentar.
Dann Drucken "Send".Das ist alles.
"Subject", "E-Mail", "URL", "Password",
und "Secret" sind nicht nötig.
Nicht zeichnen Secret-check Box bitte.
Viele Grusse
Nachtzug

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

Deutschland (59)
北の大地の交響詩 (55)
東北本線 (20)
日本海縦貫線 (99)
東海道・山陽線 (110)
福知山・山陰線 (6)
伯備線 (45)
木次線 (3)
私鉄 (30)
未分類 (0)

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

Visitor

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR